プロローグ

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僕はお見通しだ発言は無視して、あの女の子を見た。 訓太は顔全体で笑っている。間抜けそうに見えて案外鋭い友人に、あの子の事について意見を求めてみた。 「あの子あんな所で何をやってるんだ?」 訓太があたりを探す。 「どの子?」 訓太は惚ける。 「三階のベランダ!音楽室の前だよ!」 訓太は顔をしかめる。 まるで本当に見えないような素振りだ…… 「失恋のショックで幻を見てるの?それとも例のやつ?」 こんな時訓太は、少しマジメな口調に変わる。 だがそんな事はわからない。大体生身の人間と、例のやつとの区別はほとんどわからないからだ。 「……」 またか…… 僕は黙ってしまった。
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