18年後

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「‥‥‥起きて」 「‥起きて頂戴、サラ」 ゆっくり目を開けると苦笑いを浮かべたビクトリアがいた。 「よっぽど疲れてたのね~。でも、そろそろ夕飯だから起きてて頂戴ね」 「あっあのスミマセン私‥‥本気で寝入ってしまって‥‥」 「いいのよ。しっかり目が覚めたみたいね。じゃ、旦那様と奥様のところへいきましょうか?」 「‥‥はい」 すぐに身支度を整え、長い廊下を歩き出した。 緊張のためか、下を向いたままのサラを気遣いビクトリアは話しかけた。 「サラ、緊張してるの?大丈夫よ。旦那様も奥様もとても穏やかな人だから」 「‥‥はい」 「笑顔よ笑顔。サラは笑顔のほうがいいわ」 「はい!」 「あっいけない忘れてたわ。旦那様のお名前はハワード様。奥様はナタリー様よ」 「素敵なお名前ですね」 「名前に負けないくらい素晴らしい方なのよ」 こうして他愛のない会話で緊張も徐々ににほぐれ、スミス家主の部屋に着いた。 部屋の扉は権力を示すかのように重厚な造りだった。 「旦那様、サラをお連れしました」 ビクトリアの声にも一瞬、緊張感を感じた。 「お入り」 決して大きな声ではない。それでも耳にはスゥっと入る抑圧の効いた声だった。スミス家当主としての重圧がそうさせているようだった。
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