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ゆっくり扉が開く。
重厚な造りに似合った重い音を響かせている。
扉が全て開くとサラを驚きのあまり、緊張を忘れていた。
自分の部屋ですら広いと思っていたサラには、当主の部屋は想像を遥かに超えていた。
素晴らしく美しいシャンデリアが部屋の中央を飾り、大きな暖炉とソファーがある。
また別の扉が部屋の中にあり、恐らくは寝室などと思われる。
呆気に囚われていると、ビクトリアが笑みをこぼし囁いた。
「サラ、自己紹介してね」
その一言にハッとしながらも粗相のないように自己紹介を始めた。
「あっあの、私サラ・ビルフォードと申します。この度は危ないところを助けて頂いた上に、あのように素敵な部屋まで…」
全てを言い切る前にスミス夫人が駆け寄ってきた。
「セシル、セシルじゃないのよね!でもなんてそっくりなの!!あの子が帰ってきたみたいに…」
スミス夫人はサラに抱きつき泣いてしまった。
そんなように耐えられず、スミスさんは目頭を押さえていた。
「ビクトリア、よく見つけてくれたね。ありがとう」
「いいのです旦那様。私も初めはお嬢様がお戻りになったのかと‥‥‥」
すっかりしんみりした空気に耐えられず、サラが口を開いた。
「あの‥‥奥様?大丈夫ですか?」
サラに抱きつき泣いたままのスミス夫人に問いかけた。
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