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――18年前――‥‥‥‥
「ねぇ、ビクトリア、私最近好きな方が出来たの」
「まぁ!!好きな方が?その幸運な方はどちらの殿方なんですか?」
「それが……お名前を知らないの。この間帰りが遅かったでしょ?実は月明かりがあまりに美しくて森の湖に出掛けた時に暴漢に…」
「なんですって!!!お嬢様、襲われたのですか!大丈夫だったんですか!」
「大丈夫よビクトリア。だからここにいるんじゃないの。その時、素敵な男性が助けてくださったの」
――あの時、とても輝いた瞳でお嬢様は話していらっしゃいました――
「でもね、お兄様に話したらすごくご機嫌を損ねてしまったの。だからビクトリア、お父様やお母様には内緒ね」
「はい、わかりました。お嬢様のお心を掴んだ幸運な殿方、さぞ素敵なんでしょうね」
「勿論よ!実はね、今夜逢う約束をしてるの。お屋敷を抜け出すわ。協力してビクトリア」
――今、思えばお嬢様を止めておけばよかった。でも、初めての恋に嬉しそうなお嬢様を止めれなかった――
「じゃビクトリア、行ってきます」
――相手の男性が気になり、私は後をつけたのです。――
(なっ、なんてことなの!?あれは・・・・)
――青白い肌に切れ長の赤みを帯びた瞳。銀髪の髪を後ろに束ね、壁画の中から抜け出したかのように美しい男性――
――『バンパイア』でした――
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