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「スミス様‥‥お嬢様が‥‥‥」
スミス家はこの街一の大富豪だ。
白く見上げても全てを見れないほどの大きな屋敷を構えている。
セシルはこの家の一人娘。近隣に知れわたるほどの美女だった。
「何故だ。何故セシルがこんな目に‥‥‥」
スミス家の当主であり、セシルの父親が蒼白な面持ちで娘の遺体を見つめた。
母親は気を失ってしまった。
「父さん…」
セシルの兄、ウィリアム。
妹のセシルを溺愛し、普段は父親の仕事を手伝いながら、街の治安部隊にも所属している。
「ウィルか‥‥‥」
「父さん…僕がセシルを襲ったヤツを始末しに行きます」
「出来るのか?」
「はい、任せてください」
「わかった。任せよう」
「もうこれ以上、犠牲者は出させません。セシルの死を無駄にはしない」
「ウィル‥‥‥必ず帰ってこい」
「わかりました…父さん」
街の広場には男達が集まっていた。
街の治安部隊「ダークネス」
特殊な訓練を受けてきた男達だ。
彼らを率いてウィリアムは向かった。
だが彼らが街に帰ってくることはなかった。
‥‥‥ただ一人を除いて‥‥‥
その頃、
しめやかにセシルの葬儀を行ったあと、丁重に葬られたはずのセシルの亡骸が墓所から消えていた。
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