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「今日からお前はここで働くんだ」
サラが働くことになったのは街一番の大富豪「スミス家」
18年前の事件以来、噂の絶えない家だった。
そのせいか、誰一人とて新しいメイドが来なかった。
今や、屋敷には当時から忠実に使えた者たちだけになってしまっていた。
「金持ちってのはわからないね~。アンタを相場の10倍で買うんだから。こっちとしては娼館に売るより儲かったからいいけどよ」
この時代、貧富の差は激しく、生きるために売られる者、家族を助けるために売られていく者が多くいた。
サラは友人と出かけていた先で誘拐され、遠いこの街で売られた。
拐われたら最期、生きては帰れない世の中になっていた。
危うく娼館に売られそうになったのを通りがかりの初老の女性が買ったのだ。
渋る売買業者と娼館のオーナーに見たことのない札束を渡し、手を引かせた。
「まぁ、この噂の絶えない家でせいぜい頑張んな」
サラを売った売買業者はそういい放つとあっさりどこかへ行ってしまった。
仕方なく呼び鈴鳴らし意を決して口を開いた。
「今日からお世話になるサラ・ビルフォードです」
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