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「サラ、お前はいなくなったセシルお嬢様にそっくりなのよ」
「私が?このお屋敷のお嬢様にですか?」
「そうだよ。だからね、お前の仕事はお嬢様の‥‥お嬢様を演じてほしいのよ」
そう言うとビクトリアは悲しげな表情で下を向いてしまった。
「お嬢様のつもりで過ごせばいいのですか?危うく娼館に売られそうだったのを助けて頂いたんです。私、頑張ります。でも‥‥」
「でも、どうしたの?」
「家族に私の無事だけは報せたいんです」
「わかりました。後で連絡先を教えて頂戴ね」
やっと笑顔になったビクトリアに安堵しつつ、仕事内容に不安だった。
18年前、吸血鬼に襲われ命を落としたセシルお嬢様
そんな彼女のために吸血鬼狩りに向かった精鋭部隊「ダークネス」が一人を残して壊滅した
18年たった今でも血の惨劇として語り継がれている話。
自分がその話の中心に、ましてや悲劇のお嬢様の変わりになるなんて‥‥‥恐くて仕方がなかった。
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