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「あぁ、本当に悩んでる姿までセシルお嬢様にそっくりだよ」
ビクトリアが嬉しそうで、でもどこか悲しい瞳でサラを見つめた。
「あの私、大丈夫でしょうか?このお屋敷の旦那様や奥様が不愉快に思わないでしょうか?」
何か話さなくちゃという思いから、当然疑問になっていることをぶつけた。
答えは意外なものだった。
「大丈夫。お坊っちゃまもお嬢様もいなくなってしまって寂しくなった旦那様と奥様に、お二人によく似た人がいたら連れてきて欲しいと言われたのよ」
「そうだったんですね。私、助けていただいたご恩は忘れません。あんな大金なかなか返せないですけど、一生懸命働きます」
「お金のことは気にしないで。ただ旦那様と奥様に優しく接してあげて。さあ着いたわよ、ここがあなたの部屋よ」
屋敷で働く以上はメイドだ。なのにサラにあてがわれた部屋は、一生住むことなんてないだろうと思うくらい広かった。
「ビクトリアさん!!広すぎます!」
「だから、気にしないで。アナタは旦那様と奥様のことを考えてればいいから」
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