18年後

6/9
前へ
/111ページ
次へ
「でも‥‥‥」 「気にしないで!それよりも実家の連絡先を教えて頂戴。先にしといてあげるから」 あまりに広い部屋に躊躇しつつ、机を借りて連絡先を書いた。 ―――フジマートシティ――― ―――ロングリバー56番地――― ―――愛情の家――― 「ここが私の実家です」 少し寂しそうに話すサラにビクトリア優しく話した。 「ここにはパパもママも兄弟もたくさんいるのね…会いたくなったらいつでも教えてね。休暇くらいあげるから」 「はい、ありがとうございます」 皆が孤児院の子だとわかると同情した。 ビクトリアは同情ではなく家族として扱ってくれたのが、サラには嬉しかった。 「今日は疲れたでしょ?夕飯までゆっくり休みなさい」 「でも、それじゃ…」 「気にしないの!あっでも夕飯の前に旦那様と奥様には会ってもらうわね。だから今はゆっくり休んでね」 「はい」 メイドとして買われた自分には恐ろしいくらいの扱いだった。 (でも、本当に疲れた) フラフラとベッドに行くとそのまま倒れて、やがて深い眠りへと落ちていった。
/111ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加