序章 救いの手

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「私はあなたがいないと何もできないの……あなたなしでこれからどうやって生きていけばいいか……わからないんだからぁ 」 「……梨花……あなたなら……大丈夫です。ぼくは信じています。いえ、やっと信じる事ができました。未来に何があるかわからないのは……みんな一緒。だからみんなは、その時その場所、そして出会った人を大切にして生きている。それは怖いかもしれない。裏切られることも、傷つけられることもあるかもしれない。でも自分で選んできた道だからこそそれを大切に思える。分かり合うことができる」 「……羽入」 「ぼくは……いいえ私は……昔の自分の娘をあなたの姿に映しこんでいました。そして、あなたと一緒にいたいと思って、ずっと私のわがままに付き合わせてしまった。本当に……ごめんなさい……」 「わがままなんて……わがままなんて……。私は……あなたと会えて幸せだった。……あなたと過ごせて、楽しかった。……あなたがいない世界なんてもう考えられない……考えたくもない。だから行かないでよ……羽入……。ここで消えるほうが私にとってはもっとわがままで卑怯よッッ!! 」 「……梨花……あなたは強い人。今まで私のせいで気づくことがなかっただけで、本当は誰よりも優しく、生きる意志に満ち溢れた人。……圭一と同じくらいにね……」 「羽入……」 「圭一……梨花を……私の大切な子を……あなたと……あなたの仲間たちにたくします。だからどうか……この子の幸せになってあげてください」 「ああ、ああ、約束する……絶対だ……俺たち仲間全員で梨花ちゃんのことをいつまでも守り続けてやる!! 」 圭一がそういうと羽入は嬉しそうな顔をするがその体は徐々に薄れてゆく……。 「は……羽入……いやだ……いやだあっ……一緒にいてお願いだからぁぁあぁ……」 「見ていますよ……ずっと……だって……」 「……は……羽入ぅぅうぅ……」 「私は、この村の守り神ですから……」
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