序章 救いの手

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今でも羽入が消えてしまったなんて信じる事が出来ない…… 私は不安と期待の入り混じった心を落ち着けた後、鍵を開けて中に入った。 祭具殿の中は薄暗いが懐中電灯がなくては見えないほどではない程度の明るさだった。 祭具殿の中にはかつて使われていた拷問道具の数々が並んでいるが、私には全然息苦しく感じない。 ここには羽入がかつていた面影があって、私にとって大事な場所だから……もちろん羽入にとっても。 だからこそここに羽入がいるかも、なんて思ってしまうのだけれど……。 そのとき突然小さな物音がしたので振り返ってみたが、何もいない。 まさか羽入かしら? 「羽入いるなら返事をして!!」 返事は帰ってこない……やっぱり私の考えすぎか……。 その時目の前の光景がいきなり歪んだ。
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