――記念日に。

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乾いた夜風の中を一人 暗闇に紛れ歩いている。 今の僕は…… 本当に何も持っていない。 それでも君は―― 愛の言葉を何度も囁いてくれている。 去年のこの時期は…… 暗闇の中を 本当の屍のように あてもなく歩いては 深いため息を繰り返していた。 今夜は月も見えない空だけど 暗闇の中にさえ 君の光りは眩しく瞬いている。 行った事もない…… 君が住む街を思い浮かべ その中に自分がいる事を 想像しては ニヤついている僕がいる。 煙草の煙りを空に吐き出し 有り得ない妄想を終わらせた。 ――君は―― 確実にこの空の下にいる。 同じ空の下には存在しているが…… その距離は今すぐには埋まりはしない。 でも僕は とても近くに君を感じている。 「来年の今頃にはきっと」 この想いと共に・・・
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