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雨上がりの空を
ボクは見上げた。
ボクは空を飛びたいとは思わなかった。
空を飛び回れる翼が
ボクにあったなら
キミが大好きだったあの町にも飛んで行ける。
でも
ボクは空を飛びたいとは思わない。
燕が
ボクに見せ付けるように宙を舞う。
飛行機が
自分の通り道を誇示しながら彼方に消えた。
ボクは螺旋階段を一歩づつ昇り
空へと近付く。
誰もいない屋上で
空を見上げ
目を閉じ両手を広げた。
少し冷たい風が
ボクの髪をかきあげた後
キミの香りを運んできた。
ボクの意識は宙を舞い
キミの元へ辿り着く。
ボクに翼はなくても
キミのところに辿り着ける。
深紅に染まったボクの手を
キミが優しく包み込み
ボクはキミと一緒に駆け上がる。
やっと
『永遠』を手に入れた
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