第2章―魔術師―

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城壁の外は砂漠になっている。 ところどころ草は生えているが、ほんの少しだ。 ここも昔は緑豊かな森と草原だったと父様から聞いた。 砂漠になったのは十七年前の大戦争があったから。 戦争で木や草原は焼かれ、魔法で大地は削られた。 川や湖は枯れ、海は戦争が終わるまでずっと嵐だったという。 その成れの果てがこの光景らしい。 もともとは豊かな南の土地だったのに、戦争は全てを奪い去った。 この城だって戦争の産物。 今この南の地は、命の気配が感じられないほどに、枯れ、荒れ果てた。 フェイアは何もない砂漠を見つめ、昔の姿を想像する。 そして現実の姿を見て、虚しくなった。
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