第31章―何気ない日常―

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「次の昇級試験までに全ての基本魔法を最低四属性使えるようになってください」 「次の試験までに!?」 「そうです。貴方なら出来ますよ、フェイア」 フロージア様は優しく笑った。 「次の試験まであと一年。これは罰則への猶予の時間でもあるので、無理だった場合は、ここを出て行ってもらいます。 時間が無さ過ぎると思うかも知れませんが、他の先生方とも話し合って決めたこと。 みんな貴方の実力を認め、実現可能だと思っているからこそ、猶予をくれたのですよ」 フロージア様は立ち上がり、本棚に歩み寄った。 「こんなに短期間で召喚魔法を使い、悪魔と戦った貴方の勇気。また土壇場での実力。全てを認めた上での結果なのです。フェイア……やれますか?」 僕はうつむいた。 僕にはそんな実力は無いと思っているから。 だけどフロージア様や他の人達は僕を認めていると言っている……。 それに……何でもやってみないと分からない。 それは、今回のことで僕は嫌というほど学んだ。 僕は顔を上げ、フロージア様を見据えた。 「やります。頑張ってマスターにまでなってみせます!」 フロージア様はにっこりと笑った。 「貴方ならそう答えてくれると思いました。短期間でのマスター昇格という異例を今まで達成したものは、この学校が設立されてから三人しかいません。 貴方が四人目となれることを、私は願っています」 「はい!」 「では、もうウェイン達のところへ言って構いませんよ」 フロージア様は一冊の本を手に取りながら言った。 僕は立ち上がり一礼する。 そして扉を開き、研究室を後にした。
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