第10章―少女―

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朝になり、僕は目を開けた。 あまり眠れなかったな……。 何故か闇と光の精霊が引っかかる。 どうしてだろう……。 特に闇の精霊。 なんで……。 僕はベッドに横になったまま考えた。 闇の精霊はファーから初めて聞いた。 だけど……その前から知っている気がする。 僕は知らないはずなのに……。 寝返りをうち、記憶の中から理由を探そうとする。 だけどやっぱり分からない。 ……気のせいかな。 僕はそう思うことにした。 それからベッドから降り、顔を洗いに行く。 冷たい水で顔を洗うとしっかりと目が覚める。 タオルで顔を拭き、僕は窓へと近付いた。 何故なら外が騒がしかったからだ。 昨日も騒がしかったが、それ以上に騒がしい。 僕は窓を開け、通りを見た。 通りには沢山の人が集まっていた。 街の人達は皆同じ方を向いている。 こんな朝早くに何集まっているんだろう。 僕は人々の向いているほうへと視線を動かした。 その先にいたもの。 とても大きな馬車だった。 馬車の先には馬が三頭繋がれている。 馬車は二十人ほどの人が乗れそうなほどでかかった。 僕はその馬車を間近で見たくなり、服をさっと着替えて部屋を飛び出した。
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