第10章―少女―

5/11
前へ
/386ページ
次へ
「ハンズは恥ずかしがり屋なんですよ! なのでお気になさらずに! では次へ行きましょう!! お次は摩訶不思議な剣を操るテリオス!!」 黒い仮面の男が叫ぶと次は長髪の男が出て来た。 目の部分に赤い模様があるだけのシンプルな仮面をつけている。 テリオスは自分の両手を合わせる。 手をゆっくりと離していくと手から剣が出てきている。 右手で出て来た剣の柄を握ると、左手を一気に離す。 すると剣が左手から抜けた。 黒い仮面の男がリンゴを持ってきて空中に投げる。 テリオスは剣でリンゴを真ん中から二つに切り裂いた。 人々は大きな歓声をあげる。 テリオスは剣が本物だと証明すると、剣の切っ先から上に向かって手のひらで優しく撫でた。 すると剣は撫でられた部分からボロボロと朽ちていき、最後には土に変わって地面に落ちた。 人々はそれを見て一瞬静かになった。 だがすぐに拍手がテリオスへと贈られる。 テリオスは深々と礼をすると、馬車へと戻っていった。 その後も奇妙な仮面をつけた者達が馬車から出て来る。 一人ひとり不思議な力を持っていて、飛んでくる矢を空中で燃やしたり、ボトルから流れる水を一瞬で凍らせたりしてみせた。 街の人達は彼らが起こす奇跡を目の当たりにしては大きな歓声をあげる。 馬車へと戻っていく彼らにいくらアンコールをしても、一人としてもう一度馬車から出て来て見せてくれる者はいなかった。 「さぁ!! 次に登場するのは……仲良し双子のメイスとミイス!!」 黒い仮面の男が叫ぶ。 馬車からは二人の子供が出て来た。 二人は斜めに半分に割れた仮面をつけている。 服は同じ服を着ていた。
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!

352人が本棚に入れています
本棚に追加