第10章―少女―

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「昔は皆、精霊が見えていたと言われているんだ」 「みんな?」 「うん。昔は今と違い、精霊と人は仲が良かったんだ。精霊と人は互いに助け合いながら生きてきた。 精霊は自分達の力を使い、人々に生きていく知識を与え、人々は様々な物を豊かにすることで、精霊に力を与えていった。 だけど、中には精霊の力を悪用する者がいた……」 「悪用って……」 「精霊を騙し、精霊の力で生き物や人を服従させたり、精霊の源となる自然を破壊していったんだ」 ファーは悲しそうに言う。 「それが嫌になった精霊達はある日突然姿を見せなくなった。正確には人間達から姿を見えないようにしたんだ……。 すぐ近くにいるけれど、その存在も、気配さえも感じられないようにした。人との繋がりを断ち切った。 精霊というのはね、心の繋がりが無くちゃ見えないんだよ」 「心の繋がり……?」 そんなことは聞いたことがない。 この話も僕は初めて聞くし。 心の繋がりとはどういうことなんだろう。
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