第10章―少女―

11/11
前へ
/386ページ
次へ
「心の繋がりっていうのは、お互いを信頼し、大切にしようとする心と言われてる。 魔術師の中ではそういう絆を持つ人のことを『精霊の加護を得し者』と呼んでいるんだ」 僕はファーを見つめる。 「エレメントマスターは姿は見えなくても会話は出来る。そういう魔術師になるには、ただ力を借りるだけじゃなく、精霊のことも考えることの出来る人じゃなきゃなれないんだよ。 精霊との絆がすごく大切になるって事だね」 「そうなんだ……」 僕は呟いた。 「ということは、仮面一座の皆は精霊と心の繋がりがあるんだ!?」 「そうだと思うよ。きっと精霊を敬愛している人達なんだろうね」 僕は窓の外を見た。 もう人々は去って、昨日と同じように通りを行き交っている。 馬車の周りには子供が興味深そうに集まっている。 だけど仮面一座の人達は誰1人として出てきていない。 僕は少女のことを思い出していた。 「あの馬車がそうなのかな?」 ファーは隣にきて、一緒に馬車を見た。 僕はファーの問いかけに頷く。 「そっか。仮面一座の誰かと話をしてみたいね」 ファーはクスリと笑うと窓から離れた。 精霊の見える人達……。 心の繋がり……。 僕は仮面一座の馬車を見つめた。 ファーと同じように一度話してみたいと思った。 特に……一座の中でもあの不思議な雰囲気をもつ少女……ベルフォートと。
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!

352人が本棚に入れています
本棚に追加