第11章―少年と逃走―

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しばらく僕は馬車を見つめていた。 だけど誰かが出て来そうな気配もない。 僕は馬車を見つめることを止めて、せっかくだから街を見て回ろうと思い、部屋を出た。 街の通りを歩き出す。 街にはいろいろな店があった。 仕立て屋や飯屋、武器屋に本屋……居酒屋に治療屋とかいう店もある。 僕がいた城にはないものばかりで、僕は店の商品や説明を見ているだけでもわくわくして心臓が高鳴った。 今までとは違うんだと。 城の中だけで僕の人生は終わらないんだと、そう実感することが出来たから。 夢中になって街を見て回っていると、いつの間にか日が沈み始めていた。 僕は泊まっている宿に戻るため、来た道を戻ろうと振り返った。 ドンッ! 何かが僕にぶつかり、僕は勢いよく尻餅をつく。 しかし僕がぶつかったものは何かじゃなく、『誰か』だった。
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