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帽子を深く被り、僕と同じく尻餅をついている。
ぶつかった相手は黒いベストに白い服。
黒い半ズボンという格好だ。
ここですれ違う子供達と同じようなありふれた格好。
少年は後ろを振り返って何かを確認すると、急いで立ち上がる。
そしてぶつかった僕を無視して走り出した。
僕がぽかんとしながら少年の後ろ姿を見ていると、二人の男が少年のあとを追っている。
男達は僕に見向きもせずに横を通り過ぎ、少年のあとを追い続ける。
これは普通じゃない……よな。
明らかにおかしい状況だ。
僕は咄嗟に男達を追いかけた。
少年は路地に入っていく。
男達も同じ道へと進む。
これはやっぱりおかしい。
僕はあの男達が少年を追っていると確信した。
少年が何かしでかして逃げているのか、それとも男達が悪いのか。
僕にはわからないが、もし……男の子のほうが悪でないなら助けなければいけない。
いざという時の為に、僕は路地の入り際に落ちていた鉄のパイプを拾ってあとを追う。
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