第11章―少年と逃走―

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少年は男達を撒こうとして右へ左へと路地を走る。 僕は男達を見失わないように、けれど男達には見つからないような距離で追い続ける。 すると角を曲がった男達が急に止まった。 僕は曲がり角に隠れ、様子を窺う。 男達が止まったのは、少年が壁に突き当たってしまったからだった。 つまり、少年は逃げ場がないわけだ。 少年は壁を背にして、男達と向かい合っていた。 男達はジリジリと少年との距離をつめていく。 片方の男が少年の腕を掴み、引っ張った。 「離せよっ!」 少年は振りほどこうと必死になる。 だけどそこは子供と大人だ。 力で勝てるはずがない。 もう一人が後ろから少年を殴ろうと、拳を振り上げている。 流石に暴力はまずいだろう。 僕は飛び出し、持っていたパイプで手を掴んでいる男の膝の裏を殴った。 男はいきなり襲いかかった痛みに驚いたのか、少年の手を離す。 後ろの男も突然現れた僕に驚いている。 少年は呆気にとられているようで、僕を見て呆然としている。 「君は……」 「いいから! 逃げよう!」 僕は少年の手をとり、走り出した。
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