第11章―少年と逃走―

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また会えるのかな……。 こんなに沢山人がいるのに……。 もし会えたら……なんて話しかければいい? わからない。 会えるのかさえわからない相手なのに、どうしてこんなにも気になるのか。 うーん……。 とにかく、諦めたら見つかる人も見つからないし、会える人にも会えなくなる。 考えてたって無駄だよね、きっと。 「よしっ!」 僕は飛び起きた。 ファーはいきなり僕が起きたから、驚いて尻餅をつく。 「明日になったらあの少年を探す! 見つけて名前を聞くんだ!」 出来たら友達に……なりたいな! うん、うじうじしてたって仕方がない! とにかく行動あるのみだ! ここに滞在している間に、見つけてみせるんだ! 「……まるで恋した男の子だねぇ」 「僕は男の子に恋愛感情は抱きませんよ!」 「例えだよ、たとえ」 ファーはクスクスと笑う。 僕は自分の顔が熱くなるのを感じた。 「私も仮面一座が気になるし、予想が正しいかどうか調べたいんだ。だからそれまではここにいると思うよ。お互い頑張ろうか」 「うん!」 ファーは僕に微笑み、僕は力強くうなづく。 それから僕達は夕飯を食べに宿を出た。
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