第11章―少年と逃走―

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次の日、僕とファーは仮面一座を見に行った。 昨日見ることが出来なかった人達、もう一度見たいという人達がもう馬車の周りに集まっている。 ファーは僕の手を引きながらどんどん前へ進んでいく。 もちろん無理矢理進んでいるわけだから、押しのけた人達から文句は沢山言われたけど。 文句を言われながらも、僕達は一番前まで来ることができた。 少し経って、馬車から黒い仮面の男が出て来る。 昨日と同じように前置きを言い、ハンズの名を叫ぶ。 昨日と同じ面々が同じ順番で出て来る。 ファーは一人ひとりの動きを食い入るように見つめていた。 僕は昨日も見ていたので、誰が何をするか知っている。 だから少しボーっとしながら、一座の奇跡のような出し物を見ていた。 そして遂に彼女の出番がくる。 僕は彼女の名前が叫ばれると我に返った。 馬車から少女が降りてくる。 服は色は違うが昨日とほぼ同じ服だ。 また扇子を取り出して踊り始める。
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