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僕が馬車を見つめていると、馬車の横から昨日の少年が顔を出した。
キョロキョロと警戒するように周りを見渡している。
あの帽子にあの服装……。
間違いないっ!
あの少年だっ!
馬車のそばにいるということは、一座の出し物を見ていたんだろうか?
同じ場所にいながら見つけられなかった自分が悔しい。
いや、今はそれよりも少年に話しかけなきゃ!
せっかくのチャンスが無くなってしまう!
僕は急いで宿を飛び出した。
通りに出て少年の姿を探す。
馬車の近くを少年が歩いている。
僕は人混みを掻き分け、少年に近付いていった。
僕は少年の後ろまで近付いた。
少年は僕に気付いていないようだ。
街の奥に向かって、さっきと同じように周りをキョロキョロしながら歩いている。
僕は少年の肩に手を置いた。
少年はビクッとすると腰のベルトから短剣を抜き取り、僕の腕を掴む。
僕の腕を軸に方向転換し、向かい合った状態で僕の首筋に短剣を当てた。
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