第11章―少年と逃走―

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僕が馬車を見つめていると、馬車の横から昨日の少年が顔を出した。 キョロキョロと警戒するように周りを見渡している。 あの帽子にあの服装……。 間違いないっ! あの少年だっ! 馬車のそばにいるということは、一座の出し物を見ていたんだろうか? 同じ場所にいながら見つけられなかった自分が悔しい。 いや、今はそれよりも少年に話しかけなきゃ! せっかくのチャンスが無くなってしまう! 僕は急いで宿を飛び出した。 通りに出て少年の姿を探す。 馬車の近くを少年が歩いている。 僕は人混みを掻き分け、少年に近付いていった。 僕は少年の後ろまで近付いた。 少年は僕に気付いていないようだ。 街の奥に向かって、さっきと同じように周りをキョロキョロしながら歩いている。 僕は少年の肩に手を置いた。 少年はビクッとすると腰のベルトから短剣を抜き取り、僕の腕を掴む。 僕の腕を軸に方向転換し、向かい合った状態で僕の首筋に短剣を当てた。
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