第11章―少年と逃走―

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二人で歩いていると、突然フォートが立ち止まった。 「どうしたの?」 フォートは僕の言葉を無視して、振り向き、また前を見ると早足で歩き出した。 「ねぇ……ど……」 「うるさい……少し静かにしてて」 僕の言葉は遮られた。 仕方ないので、大人しくフォートのあとについていく。 フォートの足取りはだんだんと速くなっていく。 ついには走り出した。 「ねぇ、一体……何が……」 「わからない? ……昨日の奴らだよ。付いてきてる」 フォートは呟いた。 「路地に入って撒くよ」 フォートは僕の手を引き、路地に入る。 昨日と同じように右へ左へと無造作に進んでいく。 「なんで……あの人達は君を追ってくるのさ……」 僕は息を切らしながら聞いた。 「……君には……関係ない」 フォートは冷たく言い放つ。 僕は少しうつむきながらフォートの後ろを走る。 後ろから男達の声が聞こえる。 このままじゃ追い付かれる。 僕はフォートの手を振りほどいた。
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