第11章―少年と逃走―

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「何やってるの。早く逃げ……」 「フォートは逃げて」 僕はフォートに背を向ける。 「僕が時間を稼ぐから」 「何言ってんだよ。君は関係ないのに……君じゃあいつらにすぐやられてしまう」 「やられてもいい。君が逃げられるなら。これは僕がただ単に君を助けたいだけだからさ。ほら早くっ!」 フォートは少し躊躇したが、すぐに走り出した。 フォートが奥の角を曲がると同時に男達が現れる。 僕は隠し持っていた短剣を取り出し、男達に向けた。 「なんだお前?」 「昨日殴ってきたガキか」 男達もナイフを取り出す。 二対一か……。 勝てなくても……できればこいつらを倒したいけど……それは厳しいよな。 せめて時間稼ぎになればそれでいい。 僕は歯を食いしばり、姿勢を少し低くする。 男達はジリジリとナイフを突き出しながら寄ってくる。 まだだ……まだ遠い……まだ……。 今だっ! 僕は地面を蹴り、勢い良く飛び出す。 男はナイフを顔面に向けて突き出す。 僕は顔を少し動かし、ギリギリでナイフを避けて男の懐に潜り込む。 それから短剣の柄で男の鳩尾を思いっきり殴った。 男は呻き、うずくまる。 その首筋を柄で殴り、気絶させる。 よし……一人片付けた。 僕はもう一人に目をやった
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