第11章―少年と逃走―

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「離せっ!」 僕の後ろから声がする。 この声は……。 「フォート!!」 僕は振り向いた。 フォートが曲がった先の道から別の男がフォートを抱えて現れる。 「離せって言ってるだろっ!!」 フォートは暴れているが、全く男に効いていないようだ。 「おいガキ。武器を捨てろ」 男は指示をする。 僕がためらっているとフォートの首に手をやった。 「さっさとしないとこいつの骨が折れるぞ」 ギリギリとフォートの首にやった手に力を込めている。 フォートは苦しそうに男の手を引っ掻く。 僕は短剣を男の足元に投げ捨てた。 すると気絶させたと思っていた後ろにいた奴が僕の背中を蹴った。 浅かったのか……。 そうは上手く気絶なんてしないよなぁ……ちくしょう……。 地面に倒れた僕を男は容赦なく蹴りつづける。 フォートは首から手を離されたみたいだ。 僕の名前を呼んでいる。 フォートごめん……役に立てなくて。 僕はぎゅっと目をつぶり男の攻撃を耐え続けた。
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