352人が本棚に入れています
本棚に追加
男は僕を睨む。
「知らない奴に関わろうとするのは感心しねぇな。もしベルフォートがいなかったらお前は死んでたかもしれないんだ。
同じ幸運が続くとは限らねぇし、今日のことが原因でお前が狙われることになっても、俺達は助けることはしねぇ。
死にたくなかったらこれ以上俺達に関わるんじゃねぇ。いいな」
男は踵を返すと、ベルフォートを馬車へと促す。
ベルフォートは一瞬僕の方を見たがすぐ向き直り、馬車へと乗り込んでいった。
僕は一人馬車の近くに取り残される。
一体……なんなんだ……。
僕は足下にあった小石を蹴り上げた。
僕が宿へと向かおうとすると、蹴り上げた小石が少し先にいる少年の背中にヒットした。
「いっっっっ……たああぁぁ!!!」
少年は背中を押さえながら叫んだ。
僕はその場を立ち去ろうと、後ろを向いてソロソロ歩き出す。
「誰だよっ!! 石ぶつけたのっ!!」
僕はついビクッとして立ち止まった。
きっと少年の目には僕が目に入っただろう。
心臓がドクドク言っている。
僕はここにいるのが嫌で一気に走り出した。
「待てっ!!」
少年は走り出した僕を追いかけてくる。
なんで走り出したんだ自分!
これじゃあ自分がやりましたって言ってるようなものじゃないか!
僕は自分をけなしながら走り続ける。
謝りたいが謝れそうな状況ではない。
とにかく僕は全速力で街を走り回った。
最初のコメントを投稿しよう!