第12章―仮面一座―

6/12
前へ
/386ページ
次へ
どれくらい走っただろう。 もう流石に疲れた……。 少年は……まだ追ってきてる!? スピードは全然落ちてないし! 疲れを知らないのか!? 僕は走り出す。 だけど疲れているからスピードが出ない……。 そして僕はとうとう少年に捕まった。 ……というより背中に蹴りをいれられた。 僕は力無く前に倒れる。 少年は僕の上に乗っかり、手首を捻った。 きっと少年は勝ち誇った顔をしているだろう。 なんで今日はこんなに痛い目にあうんだ……。 自業自得なのはわかってるけど、痛いのは普通に嫌だ。 僕は溜め息をついた。 「石をぶつけたのはお前だな!」 少年は声を張り上げる。 「あれは不可抗りょっ……」 「煩い! 言い訳なんて聞かないからな!」 少年はさらに腕を捻り上げる。 聞く気ないのか……まったく……。 僕は大きく息を吸った。 それから腕に力を込めて少年の手を振り払う。 少年は僕が抵抗していなかったから油断してたのか、すぐに手が離れた。 僕は体を起こし、上に乗っている少年を地面に落とす。 すぐさま少年の後ろにまわり、少年の腕を後ろに軽く捻った。 暴れたらすぐ放してしまうくらい軽く。 でも痛みを感じるくらいも力で。 形勢逆転。 これくらいのことは城で兄様と嫌になるくらいやったんだ。 そんじゃそこらの男の子に負けはしない。 少年はすごく驚いた顔をしていた。 「人の話は最後まで聞くもんだろ?」 「煩いっ!」 少年は僕の手を振り払い、手のひらを僕に向ける。 その目は怒りに満ちている。 「こらしめてや……」 「……ダメ」
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!

352人が本棚に入れています
本棚に追加