第12章―仮面一座―

7/12
前へ
/386ページ
次へ
少年の後ろから少女が現れた。 次から次へと……。 今度はなんなんだよ。 僕は少し身構えていたが、少女は僕ではなく少年の手を握る。 「能力……使っちゃ……ダメ……約束……」 少女は小さな声でボソボソと言っている。 少年は舌打ちすると手を下ろした。 少年達の後ろから誰かが走ってくる。 あのがたいからして男だろう。 少年達の父親だろうか……。 また面倒なことになっちゃったな。 ん……? あれは……あの服は……。 さっき別れたばかりの、追い返されたばかりの、ギルガじゃないか。 僕は自分の目を疑った。 ギルガがこっちへ走ってくる。 「ったく。ミイスが急に馬車から出たから追いかけたら……またお前か、坊主」 「また? どういう意味だよギルガ」 「メイス黙ってろ」 少年は不満そうに俯く。 少年と少女はあの仮面一座ミイスとメイスだったのか。 僕はギルガを見た。 ギルガは呆れた顔をしている。 「なんでお前は一座の奴らと関わるかな……」 「別に関わりたくて関わった訳じゃ……」 「とりあえずメイスが坊主を追ってたわけを聞こうか。なぁメイス?」 メイスはビクッと反応する。 ギルガはにっこりと微笑んだ。
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!

352人が本棚に入れています
本棚に追加