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僕は馬車を出た。
日はもう沈み、辺りは真っ暗だ。
建物から漏れる光が街をかすかに照らしていた。
僕の肩をトントンと誰かが叩いた。
僕は後ろを向く。
「君は……確かミイス……?」
後ろにいた少女が頷いた。
「僕に何か用かな?」
「あの……」
「ん?」
「夜……今日……気を……つけて……」
ミイスは僕の顔を見る。
「気をつけてって……」
「貴方は……私達に……巻き……込まれ……る……とても、危険……」
「どういう意味だ?」
ミイスそれだけ言うと、僕の問いには答えずに黙り込んだ。
そして背中を僕に向け馬車へと戻っていく。
「ちょっ……待ってよ!」
ミイスは一瞬立ち止まるが振り向くことは無く、馬車の中へ入っていった。
「一体何だったんだ?」
僕はミイスの言葉に疑問を抱きながら宿へと向かった。
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