第12章―仮面一座―

12/12
前へ
/386ページ
次へ
僕は目を凝らすが、暗くてよくわからない。 街の人たちが騒ぎ始めた。 男達は手に剣や槍などの武器を持ち、街の外へと向かう。 女性と子供は家の中へ入っていく。 ファーも騒ぎに気付き、窓へと駆け寄る。 「何? 騒がし……」 ファーの言葉は途中で途切れた。 目線の先にはうごめく何かがいる。 「ファー?」 僕はファーの顔を覗き込む。 ファーは驚きと恐怖の入り混じったような顔をしている。 「ファー!? どうしたんだよ!」 「あれは……魔術騎士団だよね……なんでこの街に……」 ファーはぼそりと呟いた。 魔術騎士団? 初めて聞く名だ……。 騎士ってことは剣士がいるんだろうが……。 魔術って…? ファーの目線は街のあちこちへと移っていく。 その目線はある場所で止まった。 そう……仮面一座の馬車だ。 「そうか……奴らはあれを狙って……」 「ねぇ、あれってなんだよ!」 ファーは僕の言葉を無視し、荷物のそばへと駆け出す。 荷物からファーは何やら取り出している。 「ファーどうしたんだよ! どんな状況かよく分からないんだけど……」 「フェイア! 剣を持って……そして急いで仮面一座の馬車のもとへ行くんだ」 「えっ?」 「早く! 仮面一座の皆が危険だ!」 仮面一座が……危険? 頭の中をベルフォートの顔がよぎる。 僕は自分の荷物の横にある剣を持った。 それから心臓を守るための胸当てをつける。 手にも籠手をつけると、言われた通り急いで馬車へと向かった。 何が何なのか分からないけど……危ないのなら助けなくちゃ!!
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!

352人が本棚に入れています
本棚に追加