第13章―戦い―

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僕は彼らを追って人混みの中へと入っていく。 彼らは歩くのが早く、走らなきゃ見失ってしまうくらいだ。 僕は人混みに毒づきながら追い続ける。 彼らは何故か路地へと入っていく。 不思議に思ったが僕はついていった。 彼らはどんどん進み、街の裏へと出た。 それから少し開けた場所で立ち止まる。 何故街の裏に……。 僕は近くの木の後ろに身を潜めた。 何やら話をしている。 ギルガが指示をしているようだ。 街の方からは金属と金属のぶつかる音が聞こえてくる。 もう敵は街へと入ったのか。 ギルガが指示をし終えると、みんな別の方向に動き始める。 僕は悩んだ末に唯一話が通じそうなベルフォートのあとをついていった。 ベルフォートは森の中を街に沿って進んでいく。 敵のもとへと近付いているようだ。 一体何をする気なんだ? 僕はうつむきながら考えた。 視線をベルフォートのほうに戻すとベルフォートがいない。 「誰?」 後ろで声がした。 首にはナイフが当たっている。 「ベルフォート……僕だよ……」 「フェイア? なんでここに。さっきギルガに追い返されていたはず」 ベルフォートはナイフを下ろす。 「僕も力になりたくて……」 「邪魔だよ。君じゃあ足手まといにしかならない。さっさと逃げなよ」 ベルフォートは冷たく言った。 「足手まといになんかならない!」 「無理だね。君は普通の人間だから。それに奴らの狙いは私達。君には関係ないんだよ」 また関係ない……か。 「そんなことない! 僕は君の命を助けたんだ! 今更関係ないはずないだろう!」 僕はベルフォートの肩を掴みながら言った。 ベルフォートはうつむく。 「……勝手にしろ。ただしお前が死んでも私は知らないから」 ベルフォートは僕に背中を向ける。 「うん!」 僕は剣を強く握り締め、ベルフォートの後をついていく。
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