第14章―出発―

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ギルガが僕らに歩み寄る。 「昨日は本当に助かった。だからアンタらに何か礼がしたいと思ってな」 「そんな礼だなんて……」 ファーは手を横に振る。 「それじゃあ俺の気がすまねぇんだ」 「あれは私達の意志でやったことであって、頼まれたわけじゃない。だから礼なんていらないよ。そういうことだけなら私達は作業に戻らせてもらうよ」 ファーは後ろを向き、僕の手を引く。 「待ってくれ。お前さん達の意志だったとしても、それで助かったのは事実なんだ」 ギルガはファーの肩に手を置いて引き止める。 「だから……頼むよ。礼をさせてくれ」 「何度も言うように礼はいらないから。それじゃあ」 「なら頼み事だ!」 ファーは足を止めた。 ギルガのほうを振り向く。 「頼み事?」 「あぁ。これなら聞いてくれるだろう?」 「……仕方ないな。内容によっては断るけど」 ファーは溜め息をついた。 ギルガはそれでもいいと、嬉しそうな顔をしている。 そして背筋を伸ばし、咳払いをする。 「頼みっていうのはだな……ベルフォートを連れていってくれ」 僕は驚いた。 ベルフォートやメイス達も初めて聞いたらしく、かなり驚いている。
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