第14章―出発―

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メイスは町外れの小高い丘の上にいた。 大きな木によしかかり、うなだれている。 その顔はとても寂しそうな顔をしていて、見ている僕も悲しくなってしまいそうだった。 僕はゆっくりとメイスに近付いた。 メイスは僕に気がつくと立ち上がり、どこかへ行こうとする。 「待ってよメイス! 少し話がしたいんだけど……」 「話すことなんてない……」 メイスは僕に背中を向ける。 「ベルフォートのことなんだけど……」 僕がベルフォートの名を出すと、メイスはピクリと反応した。 「ベルフォートは小さなころから仮面一座にいたんだよね?」 「そうだ」 「なんで小さな子供のころから? 預けられたりしたの?」 メイスは溜め息をつくと座り、また木にもたれかかる。 「オレ達仮面一座の一員は、みんな……捨て子なんだよ」 メイスは空を仰ぎながらいう。 「オレ達は特殊な力を持って生まれてきた。それはすごく特別かもしれないが、力のない者からしたら特殊な力は恐怖でしかなかった。 その恐怖を無くすために捨てられたのがオレ達仮面一座だ」 「そう…なんだ……」 僕は聞いたことを後悔した。 まさかベルやメイス達にこんな悲しい過去があったとは思わなかったから……。
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