第14章―出発―

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「メイス達は捨てられて寂しいとか……家族に会いたいとか思わないの?」 「家族の顔なんて知らないし、記憶に残ってさえもいない。それに会ったって……歓迎されることはないんだ。 オレ達にとっての家族は、仮面一座の全員だけだよ」 「そっか……」 僕はメイスと反対側に腰掛ける。 「特にベルフォートは家族からの扱いが酷かったらしいからさ。オレ達の中の誰よりも仮面一座を愛してるんだ」 だからベルフォートはあんなに嫌がっていたんだ……。 そりゃ嫌だよな……家族と離れるなんてさ……。 僕だって……嫌だったから。 ベルフォートを連れていくのが悪い気がしてくる。 「だけど……」 「ん……?」 「ギルガの言う通り……お前達といるほうが安全なんだよな。 ベルフォートは……オレ達より特別で強い力を持っているから、数倍狙われやすいし……」 「狙われやすい……? 特別?」 僕は後ろを向き、メイスに聞いた。 「お前知らないのか? まぁ……そのうち分かるさ。ベルフォートと一緒にいたら、な」 メイスは立ち上がる。 僕も一緒に立ち上がった。
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