第14章―出発―

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メイスは少し躊躇したあと、僕に頭を下げた。 「頼む、ベルフォートを……アイツを守ってくれよ。アイツは……特別な……家族なんだ」 メイスは僕に頭を下げたまま右手を差し出す。 本当は自分が守りたいんだろう。 自分が一緒にいたいんだろう。 誰かに任せたりなんてしたくなんだろう。 メイスの手が小刻みに震えている。 「……勿論だよ。絶対守ってみせるさ。剣士の誇りにかけて」 僕はにっこり笑い、メイスの手を握り返した。 本当は守れる自信なんてない。 僕は昨日何も出来なかったんだから。 でも、今は弱くても……強くなってメイスとの約束は守ってみせる。 強くなってみせるんだ。 そうしないと剣士として、いや、男として情けない。 「ありがとな。えっと……」 「フェイア」 「そうそう! じゃあ……フェイア、街に戻るか」 メイスは照れくさそうに言う。 「そうだね。僕は荷物まとめなきゃいけないし」 「オレはギルガに殴られる前に手伝ってこないと」 僕達は笑いあい、握っていた手を離し、二人で街へと走っていった。
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