第14章―出発―

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次の日……。 僕達は街の外に立っている。 目の前には仮面一座の面々が集まっていた。 みんなベルフォートに別れを言うために集まったのだ。 ベルフォートは一人ひとりと一言交わし、今にも泣きそうな顔で抱きついている。 僕とファーはそんな様子を見守っていた。 こうやって見ると本当の家族のような温かさが仮面一座にはあった。 ベルフォートが仮面一座を離れたくないという気持ちもよく分かる……。 僕もそうだったから……。 僕はうつむいた。 城のことを思い出し、涙がこぼれそうだったからだ。 そんな僕をファーは優しく撫でてくれた。 ベルフォートがみんなと話し終えると、僕たちの元へと歩いてきた。 僕達は彼らに一礼し、背中を向ける。 そして次の目的地に向かって歩き出した。 「フェイアー!」 僕は後ろを向く。 後ろではメイスが叫んでいた。 「会った時、つかみかかって悪かった! ごめんなー! 今度会うときは石は勘弁してくれよー! ベルフォート! いつか……いつか戻ってこいよー! 待ってるからなー!」 メイスの声はだんだんと小さく枯れていった。 そして下を向き、腕を顔に持ってくる。 そんなメイスの背中をミイスがさすっていた。 「メイスー! また会おうなー!」 僕は立ち止まり、大声で答えた。 それから深呼吸すると二人のもとへと走った。 次の目的地は……魔法の街バルファム。
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