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「言ったろ? 魔術師になれるのは少しだって」
「うん」
僕はうなづく。
「あれはね、殆どが旅の中で命を落とすからなんだよ。
結局は実力がなきゃ、旅をしても生きていけないからね」
「命を……」
僕は絶句した。
魔術師になるにはここまで辛く険しい道のりだったなんて……。
それを乗り越えてきたなんて、ファーはすごいんだ……。
「まぁ、魔術師になれないのはそれだけじゃないんだけどね」
ファーはにっこり笑う。
「そっか……」
僕はファーの笑顔を見て、何故か安心した。
ファーは僕の前を歩き始める。
魔術師の学校か……。
少し行ってみたいかも……。
ファーが通った学校だし、ちょっと気になる。
僕は頭の中でバルファムの街を思い浮かべながら歩き続ける。
ベルフォートはというと、僕とファーが話している間も隣で黙々と歩いていた。
「ベルフォートはバルファムを知ってる?」
僕は聞いてみた。
「知ってる……けどあそこは嫌いだ……」
ボソッと呟く。
「どうして嫌いなんだ?」
彼女は大きな溜め息をつく。
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