第15章―旅路―

3/9
前へ
/386ページ
次へ
「言ったろ? 魔術師になれるのは少しだって」 「うん」 僕はうなづく。 「あれはね、殆どが旅の中で命を落とすからなんだよ。 結局は実力がなきゃ、旅をしても生きていけないからね」 「命を……」 僕は絶句した。 魔術師になるにはここまで辛く険しい道のりだったなんて……。 それを乗り越えてきたなんて、ファーはすごいんだ……。 「まぁ、魔術師になれないのはそれだけじゃないんだけどね」 ファーはにっこり笑う。 「そっか……」 僕はファーの笑顔を見て、何故か安心した。 ファーは僕の前を歩き始める。 魔術師の学校か……。 少し行ってみたいかも……。 ファーが通った学校だし、ちょっと気になる。 僕は頭の中でバルファムの街を思い浮かべながら歩き続ける。 ベルフォートはというと、僕とファーが話している間も隣で黙々と歩いていた。 「ベルフォートはバルファムを知ってる?」 僕は聞いてみた。 「知ってる……けどあそこは嫌いだ……」 ボソッと呟く。 「どうして嫌いなんだ?」 彼女は大きな溜め息をつく。
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!

352人が本棚に入れています
本棚に追加