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「魔術師の殆どは僕のような力を欲しているんだ。特にあの街には沢山いるんだよ。なんせ魔術師ばかりなんだから……」
ベルフォートは空を見た。
夕日がベルフォートの顔を赤く照らす。
ベルフォートの表情は、とても切なく悲しい表情をしていた。
ベルフォートは僕の知らないところで沢山の苦労をしてきたんだな……。
そんなベルの顔を見ているとメイスの言葉が頭をよぎった。
「オレ達仮面一座の一員はみんな捨て子なんだよ。オレ達は特殊な力を持って生まれてきた」
メイスも悲しそうな顔をしていた。
いくら強がったって辛いものは辛いんだ……。
きっとベルフォートだって……。
僕は彼女を見つめる。
ベルフォートは僕の視線に気がつくと、サッと顔を逸らした。
「おーい。今日はこの辺りで休むよー」
少し先でファーが手を振っている。
道の横に細い道がある。
その先は少し開けているようだ。
ファーはそこを指さしている。
僕達はファーの後ろを歩き、その開けた場所まででた。
そこには焚き火の跡や、動物の骨などがところどころに残っている。
きっと他にもここで過ごした人がいるのだろう。
僕達は荷物を下ろすと、火をおこす。
おこすといっても、薪を集めて魔法で火をつけるだけだけど。
ファーは一人残り、僕とベルフォートで薪を探しに行く。
日が沈みきる前に十分な薪を集めなくちゃいけない。
僕とベルは手分けして探すことにした。
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