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子供はガタガタと震えている。
背丈は僕より十センチほど低い。
青いローブにフードをかぶっていて、裾には泥がついている。
走って逃げたから土がはねたのだろう。
子供の靴も泥だらけだ。
「大丈夫?」
僕は子供に手を差し出す。
子供は僕の手を握り立ち上がった。
「ありがとうございます。だけどのんびりはしてられないんです……あいつが戻る前に消さないと……」
子供は真っ二つになった何かの周りに、ローブから取り出した棒で丸く囲った。
円のそばに記号を書き連ねていく。
これは……召喚陣?
彼が陣を書いてる間にも何かはブルブルと動き出し、土を取り込み始めた。
子供は記号を書く手を早める。
土を取り込んだ何かはどんどん復元し、子供に手を伸ばす。
僕は剣を抜き、手を落とそうとした。
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