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すると突然子供の書いた円の内側から光が出て来た。
僕が子供を見ると、棒の先の記号が書き終えられていた。
何かは光の先には出られないらしい。
円の中をグルグル回っている。
子供は棒を両手で持ち、その手を何かに向かって突き出す。
「心無き造られたものよ。汝のあるべき場所へと帰り、あるべきもとの姿へと戻りたまえ。
リターン!」
何かはブルッと震えると足元から崩れていき、あっという間に円の中には土の山だけどなった。
子供が手をおろすと光は消えていく。
僕は何がなんだか分からず、その場に突っ立っていた。
子供はゆっくりと土の山へと近付くと、その中に手を突っ込んだ。
手を引き抜くとそこには赤い玉が握られていた。
「良かった……ちゃんと回収できた……」
子供はぼそりと呟いた。
「回収って?」
僕は子供に近付きながら聞く。
子供はビクッとすると、玉をズボンのポケットにしまってから僕の方を見る。
「なんでもないです。あなたのおかげで助かりました。ありがとうございます」
子供は丁寧にお辞儀をすると、フードを取った。
茶色の髪に茶色の目。
頬にはそばかすがあり、耳にはローブと同じ色のピアスをつけている。
歳は十二くらいだろうか。
僕よりも年下なのは確かだ。
だけど妙に大人びた雰囲気を漂わせている。
そうファーと似たような雰囲気だ。
「お礼なんていいんだよ」
僕は剣を鞘にしまいながら言った。
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