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ウェインは少しでも早くファーのようになりたかったから、ゴーレムを作り出したと言った。
ゴーレムが作ることが出来れば、学校でも一目置かれると思ったらしい。
だけど完全なゴーレムを作り出すには、沢山の魔力が必要なのだとファーは言う。
魔力がなければゴーレムは命令も聞かないし、体も不完全なまま出来てしまう。
ウェインの作り出したゴーレムはまさにそれだった。
ウェインはファーに色々と指摘されてうなだれている。
尊敬している人に言われたのだから、そうとうショックだっただろう。
ウェインは寝る時も、ずっとどんよりしていた。
ファーとベルが寝つき、僕は見張りをする。
夜の森は危険だから、交代で見張ることにしたのだ。
僕が火に薪を加えていると、ウェインが声をかけてきた。
「ねぇ……君も魔術師になるんだよね? 学校に通うんだよね?」
「僕は魔術師にはならないよ」
僕の発言にウェインはかなり驚いた。
「どうして!? ファリスト様が師匠なんでしょう?」
「一応は。でも僕は魔術師になる気はないんだ。僕は騎士になって王に仕え、自分の城を兄様と一緒に守る。それが小さい頃からの夢で目標だから」
「城ってことは、砂漠のほうからきたんだ。ファリスト様の弟子なのに……君は魔術師にならないのか……」
ウェインは僕の隣に座る。
僕はただ黙々と火を絶やさないように薪を加えた。
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