第16章―魔法の街―

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「君には君の夢や憧れがある。同じ様に僕にも僕の夢や憧れがあるんだ。 それがただ単に魔術師になることじゃないだけだよ」 僕はウェインに笑いかける。 「貴方の憧れてる方って誰なんですか?」 「僕の憧れる人はね、僕の兄と父だよ」 「お兄様とお父様?」 「うん」 ウェインに僕はにっこりと笑う。 それから空に浮かぶ月を見上げた。 「小さい頃から父様と兄様の背中を追い続けてきた。だから僕も父様や兄様みたいになりたいんだ」 「お二人はどんな方なんですか?」 ウェインは僕に質問し続ける。 ウェインは剣士についてあまり知らないので、興味があるのだろう。 僕はウェインに色々と話した。 僕は父様と兄様が剣士であり僕もそうだということ、父様が城主であること、兄様はその後継者であること、今までの暮らしや旅をしていて起こったことなどを。 逆にウェインは魔術師の学校のことを話してくれた。 ウェインも学校については、分からないことはまだまだ沢山あるらしい。 ウェインの話を聞いていると、まだまだ僕の知らないことがあるんだと思った。 それに色々なことを見聞きしたいとも思った。 これから行くバルファムでは何が待っているのか。僕の心臓は高鳴り、早くここを離れバルファムへ向かいたくて仕方がない。 僕達二人は見張りを交代する時間まで、今まであったことを話し続けた。
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