第16章―魔法の街―

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僕は眩しい太陽の光を顔に浴びて目を覚ます。 ベルフォートが火のそばで毛布をかぶりうずくまっている。 ファーはベルフォートと交代してまだ寝ているみたいだ。 ウェインもいびきをかいている。 まだ二人は起きないだろう。 僕は彼女の隣へと歩いていく。 ベルフォートは顔をあげ僕を見た。 「おはよう」 「……おはよ」 ベルは小さな声で言った。 僕は荷物からソーセージを取り出し火で焼いた。 勿論ベルフォートの分もだ。 十分に焼けたところでベルフォートに差し出す。 彼女は無言で受け取って食べる。 僕もソーセージにかぶりついた。 「あっつ!」 僕は飛び跳ねた。 ソーセージが思ったより熱かった……しかも舌を火傷したみたいだ……ヒリヒリする。 僕はヒーヒー言いながら水を取り出して飲む。 ベルフォートは驚いた顔で僕を見つめる。 「……プッ……アハハハ!」 ベルフォートは吹きだすと、いきなり大笑いした。 「アハハハ! 馬鹿じゃないの? 気をつけないからだよ!」 ベルは笑い続ける。 僕も何故か笑ってしまった。 僕達は笑い疲れるまで笑った。 笑いが止まったころには息切れしている。 「ホント……君は馬鹿だね」 「うるさいなぁ。でも良かったよ。初めてベルフォートの笑顔が見れた」 僕はベルフォートに笑いかける。 彼女は顔を真っ赤にして口元を手で覆った。 「笑ってるほうがやっぱいいね」 「…っ馬鹿じゃないの! ほら、そろそろ2人を起こすよ!」 ベルフォートは僕の背中を叩く。 なんで叩かれたのかはよく分からないが、僕は言われたとおりに二人を起こした。
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