第16章―魔法の街―

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太陽が僕達の真上まで昇っている。 空には雲一つ無く、気持ち良いくらいの快晴だ。 僕達四人はバルファムに向けて歩いていた。 ウェインは鼻歌を歌いながら歩いている。 ベルは相変わらずうつむき、ファーはただ単に歩き続けているだけ。 僕はそんなみんなを見ながら、一番後ろを歩いていた。 「バルファムはまだなのかな?」 僕はウェインに聞いた。 「もうすぐのはずです。遅くても日が沈む前には着きますよ」 「そっかぁ。早く宿で休みたいよ。野宿はもう嫌だし」 僕はため息をつく。 そんな僕を見てウェインはクスッと笑った。 「もう少しの我慢です」 「分かってるさ」 僕は背筋をピンと伸ばし、歩き始める。 日が傾き始めた。 けれどまだ街は見えない。 僕達は歩く足を速める。 日が沈みきる前に街に着きたいから。 しばらくすると、遠くに何かが見えてきた。 近付くにつれてそれが何なのか分かった。 それは真っ白な壁だった。 とてつもなく大きな壁。 その下の方に門がある。 道は門に向かって伸びていて、門は堅く閉じられている。 門の目の前まで来ると、僕達は立ち止まった。 門の両脇には誰もいない。 どうやって開くのかな? 僕がキョロキョロしていると、門は勝手に開き、中へと続く道が出来た。 壁はでかいだけでなく、そうとう厚いみたいだ……。 門の奥は短いトンネルのようになっていた。 ファーが門をくぐっていく。 僕達もファーのあとをついていった。 トンネルの中に僕達の足音だけが静かに響いている。 みんな無言で歩き、そしてトンネルを抜けた……。 そう、ついに僕達四人は魔法の街バルファムに着いたんだ。
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