第19章―入学試験―

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僕達二人は食べ終わると、食堂を出る。 僕はウェインにフロージア様のもとに行くように言われた。 ウェインも来たときに、一人でフロージア様の研究室へ向かうように言われたそうだ。 僕には言われなかったけどな。 「そんなに難しいことはしないから大丈夫大丈夫!」 ウェインは僕の肩を叩きながら言う。 僕はウェインに微笑んだ。 「大丈夫だといいけど」 「フェイアはもう旅をしてきたんでしょう? なら、実力がありますから。安心して大丈夫ですよ」 ウェインは必死で僕の不安を取り除こうとしている。 その心遣いは嬉しいけど……年下に励まされる自分って……。 それに旅をしてきたといっても、魔法なんて全然使ってないし……。 僕はつい、また溜息をついてしまった。 ウェインはそんな僕を見てオロオロしている。 きっともっといい励まし方を探しているのだろう。 そんなウェインを見ていると、何故か心が和んだ。 「とりあえず頑張ってくるよ。 ありがとうウェイン。じゃあまたあとで」 僕は手の平をウェインに向ける。 ウェインはにっこり笑って僕の手を叩く。 僕はウェインと別れ、フロージア様の研究室へと向かった。 この長い廊下を一人で歩くのは心細い。 僕はうつむきながら歩き続けた。 フロージア様の研究室の前にようやく着いた。 僕は立ち止まると、大きく深呼吸をする。 それから扉をノックした。 部屋の中から昨日聴いた声で返事が聞こえる。 僕は扉を開き、中へと足を踏み入れた。
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