第19章―入学試験―

6/10
前へ
/386ページ
次へ
僕はとっさに目をつぶった。 まぶた越しからまだ光っているのが分かる。 僕は恐る恐る目を開ける。 水晶からはもう光じゃなく、炎が上がっていた。 真っ直ぐ天井を貫いてしまうのではないかというくらい、大きな炎。 僕は驚き、腰を抜かした。 なんで炎が上がってるんだ。 一体これはなんなんだ! 僕は炎を抑えようと、手をかざしてみる。 だけど炎の勢いは全く弱まらない。 それどころか渦巻き、さらに強くなり始めているじゃないか。 僕の額からは汗が流れ落ちる。 くそっ! 炎よ消えろっ! 僕は心の中で叫び続ける。 だが炎は意志に反してさらに巨大になっていく。 まるで炎の龍のようだ。 燃え盛る音をあげながら太くうねる。 フロージア様はただ見つめているだけ。 何かをする気配さえない。 助けてくれないのか……。 僕はうつむくがまた炎を見る。 負けてたまるか! 僕は炎に手のひらを向ける。 炎を出したときのように神経を集中させた。 消えろっ!! 炎は変わらず上がり続ける。 僕は炎を見つめ続けた。 どうしたらいいんだっ!
/386ページ

最初のコメントを投稿しよう!

352人が本棚に入れています
本棚に追加