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「僕行くところあるから」
「クスクス。嘘もだめ。分かるんだから」
少女は僕を見てにっこり笑いかける。
僕は少女を見つめた。
「ジュリアン! 何してるの!」
前からまた一人、少女がやってきた。
しゃがんでいた少女が立ち上がり振り向く。
「ちょっとねぇ。噂の男の子と話してたの」
「またちょっかい出してたのね。気になるのはわかるけど、授業に遅れちゃうでしょ。早く行くよ」
少女はジュリアンと呼ばれた子の手を引っ張る。
「そんなに引っ張んないでよ」
「いいから! 君、ごめんね。ほら早く!」
「ばいばぁい。また会いましょ」
少女は呑気に手を振っている。
僕はその場に訳が分からないまま、一人突っ立っていた。
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