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「今日は新しく来た子がいるから、復習をかねて基礎の練習をするからぁ、魔力玉をみんな出してぇ」
先生が手をパンパンと叩く。
みんな言われたとおりに鞄やポケットからビンを取り出し、机の上に置いた。
「自分の得意な属性の玉を出して握ってねぇ。力を入れすぎて割らないように気をつけてぇ」
ビンから赤い玉を取り出す。
ウェインは薄い緑の玉を。ジュリアンは青い玉を取り出し、握った。
「じゃあ握りしめた手に魔力を集中させてねぇ。ゆっくりと流し込むのよぉ。急激に流しちゃうと、暴走しちゃうからねぇ」
先生は机の間を歩きながら言う。
僕は手を見つめ、集中した。
試験の時のように、体の中で何かが熱くなっているような気がする。
中心から手に熱が移動する。
手が熱い。
先生が開いてと言った。
僕はそっと手を開く。
魔力玉は開いたと同時に炎を上げる。
触れているのに熱くない。
だけど魔力玉は確かに燃えている。
僕はウェインのほうに目をやった。
ウェインの手の中では風が渦巻いている。
目では風は見えないが、魔力玉が宙に浮き、グルグルと回転していた。
ジュリアンは水の玉で魔力玉を包んでいる。
魔力玉は水の中でゆっくりと揺らめいていた。
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